美容師ハサミ(シザー)の研ぎ修理と切れ味を保つセルフメンテナンス

美容師の大切な相棒であるシザー。
どれだけ日常的に丁寧にお手入れをしていても、刃物なのでどうしても切れ味が落ちて来たり、何かの拍子に落としたり、刃こぼれが生じることがあります。
トラブルや異変を感じた場合はプロの研ぎ、出来ればそのシザーを作ったメーカーに修理を依頼していただきたいのですが、修理に出すタイミングの目安や日々のセルフメンテナンスの方法など、分からないことも多いですよね。

そこでこの記事では、シザーを研ぎに出すときの注意点やセルフメンテナンスの方法を解説します。

美容師シザーが切れなくなる原因と、よくあるトラブル

シザーが調子よく切れるためには、鋭い刃だけでなく、2枚の刃がうまく調和していることがとても重要です。
切れなくなる原因は様々ですが、一例をあげると以下のようなトラブルがよく寄せられます。

  • 表側に返り刃(バリ)が生じている

    刃と刃が擦れ合う事で生じた小さなバリが切れ味低下の一番の原因として考えられます。
  • 刃こぼれが生じている

    ピンや硬い物を咬ましたり刃がぶつかることで、刃こぼれ・カケになることがあります。
  • 裏刃(刃の擦れあう内側)やガイドが摩耗している

    刃の表側ばかりを気にしがちですが、開閉に違和感がある場合は裏側の触点がヘタっていることもあります。
  • 反り・捻りが狂っている

    硬い物にぶつけるなど、強い力が加わると刃と刃の咬み合わせが悪くなることがあります。
  • サビが発生している

    ステンレス製シザーの場合、パーマ液や水分による小さなサビも切れ味が落ちる原因になり、放っておくと広がってしまいます。
  • ネジの調整が適正ではなくなっている

    ネジを緩めすぎたり、締めすぎたりすることでも切れ味・パフォーマンスが低下します。
  • ヒットポイントなど部品が欠損している

    「シザーを閉じた時に刃先が合わない」「急にカチカチ音がする!」といった場合、ヒットポイントのゴムが外れていることもよくあるトラブルです。

シザーのパフォーマンスは様々な原因が重なって低下します。
「研ぎ」というと刃を鋭く尖らせる、というイメージですが、実際にはシザーを分解し、上記のようなポイントをすべてチェックし、適切な調整をしています。
ただ単に「刃を鋭く付ければ切れる」のではなく、正しい調整をしないと余計にシザーをダメにしてしまいます。

また、切れにくくなると、無意識に親指で無理な力を加え、こじるような切り方(押し切り)をしてしまいます。
押し切りを続けていると
シザーが切れにくくなる → 押し切りする → シザーに余計な負担がかかり、さらに返り刃や不具合が生じる → ますますシザーが切れにくくなる → ・・・
といった悪循環になるだけでなく、無理な力の入れ方になるので、腱鞘炎の原因にもつながります。

だからこそ、これから紹介する適切なセルフメンテナンスとプロによる研ぎ・修理で、シザーにもご自身にも負担なくサロンワークを続けてもらいたいと思います。

切れ味を保つために毎日できるセルフメンテナンスのポイント

トラブルを出来るだけ抑えるためにも、日々のセルフメンテナンスが大切です。
小さな返り刃(バリ)はセーム革で軽く押すように拭うことでケア出来ますし、なにより、毎日欠かさずセルフメンテナンスを通じてシザーに向き合い、常に状態を気に掛けることで、小さな変化や不具合のサインにも気づくことが出来ます。

切れ味の落ちたシザーでお客様の髪が引っかかって「痛かった!」と言われて気づく前に、日々のメンテナンスを通じてシザーの状態をチェックするという事をぜひ、習慣づけてください。

かんたんな手順で出来る毎日のシザーのセルフメンテナンスの方法については、こちらの記事↓でまとめているので、あわせてお読みください。

プロによる研ぎ・メンテナンスの頼み方とタイミング

毎日セルフメンテナンスを続けていても切りづらいな・・・と感じたら、プロによる研ぎ・修理が必要なサイン。
切りづらい状態で使い続けると余計にシザーに負担がかかってトラブルが大きくなるので、違和感を感じたら早めにプロの研ぎ・修理にお任せください。

「どのタイミングで修理に出せばいいの?」というお問合せも良くいただきますが、使っている環境や使用頻度、持っているシザーの丁数によっても違ってくるところです。
おおよその目安になりますが、1年に一度くらいを目途に、里帰りさせるつもりでメーカー修理に出していただけると良いかと思います。

シザーはメーカーによって刃付けのノウハウ、反りや捻りの考え方、ネジの作りなど独自の技術を持っています。
だからこそ、研ぎを依頼するときは、シザーを作ったメーカーに依頼してもらいたいと思います。

私たちキクイシザースがお受けする研ぎ・修理のご依頼でも「他社に研ぎを出して切れなくなってしまった…」というケースもよくあります。
これは他社の研ぎが間違っている、というわけではなく、シザーはメーカーごとに作り方や考え方が違うという事です。
他社で研がれたシザーは刃角度を戻すために、必要以上に刃を落とさないといけないこともあります。
私たちも他社メーカーさまの研ぎは原則お断りしていますが、基本的にはシザーの研ぎは、そのシザーの事を一番良く分かっている各製造メーカーが安心です。

研ぎが戻ってきてから注意してもらいたいこと

研ぎから帰ってきたシザーは、繊細な刃が付いた状態です。
いきなりパフォーマンスがあがった状態で戻ってきますので、最初の数名は柔らかい髪質の方を選んで、いつもより丁寧に、慣らしカットを心がけてください。

また、キクイシザースでも万全を期して修理をしていますが、研ぎ・修理から帰ってきたシザーはまず状態を確認して、万が一違和感があった場合はすぐにご連絡をお願いします。

研ぎ直ししても切れ味が戻らない・・・シザーの寿命?頻繁な研ぎ・修理はNG?

研いでもらったばかりなのにイマイチ切れ味が戻らない、すぐに切れ味が落ちて研ぎ直しが必要になるという場合、次のような原因も考えられます。

  • ウラスキが浅くなっていてヒネリの力が弱くなっている。

    修理のときは表だけでなく裏からも研ぎ直すため、ウラスキと呼ばれる刃の裏の溝が浅くなりヒネリの力が弱くなってしまう事があります。これは、金属そのものが弱くなる、というより、構造がヘタってくる、といった方が正確です。この場合、追加料金が必要ですがウラスキを彫り直す修理を施すと切れ味が復活します。
  • 鋼が加工熱によって傷んでしまっている。

    上手な、というより良識のある研ぎ師は熱を加えないように丁寧に研ぎ直しをしますが、ごくまれに乱暴な修理業者によって加工熱を加えられるとステンレス鋼が焼き鈍りして、金属そのものが弱ってしまう事があります。一度焼き鈍りをしてしまった鋼は元に戻すことが出来ず、研ぎ直してもすぐに切れ味が落ちてしまいます。
  • サビが進行しすぎてしまって通常の修理では修復しきれない。

    ステンレス鋼のサビが深くまで侵食していると、修理をしてもサビを落としきれない事があります。とはいえ、パーマ液や水分が残らないようにセルフメンテナンスしていればそこまで酷い状態になることはまずないので、日ごろから気にかけておくことが大切です。

研ぐと刃が減るので頻繁に出すと良くないのでは・・・と考えて、多少切れ味が落ちてもしばらく様子を見ながら使い続ける美容師さんもいらっしゃいます。
結論を言うと、むしろ切れ味が悪い、何かおかしいと感じたら、すぐにプロによる研ぎ・修理を依頼した方が、結果的にシザーは長持ちします。
その理由は、パフォーマンスを落ちた状態で研ぎ直しをせずに使い続けることで、余計にシザーに負担が掛かり、ダメージを拡げてしまうからです。

メーカーによる研ぎ・修理では、必要以上に刃を減らすことのないように、そのシザーの最適な刃角度や研ぎ方で研ぎ直しをします。
定期的に研ぎ直しをしていれば毎回の研ぎ減らす量を最小限で抑えることが出来ますが、切れ味が落ちた状態で使い続けてこられたシザーはダメージがある部分まで一気に刃を減らし研ぎこんでいく必要があるので、かえってシザーの寿命を縮めることになります。
ちょっとでも異変を感じたら、すぐにプロによる研ぎ・メンテナンスをご依頼ください。

きちんとしたメーカーの商品であればシザーの寿命は10年以上、使い手である美容師さん次第で20年、30年と使い続けることができるものです。
そのためには、ご自身で出来る毎日のセルフメンテナンスと、プロによる定期的な研ぎ・修理メンテナンス
適切に続けることで、大切なシザーを長く使い続けていただきたいと願っています。

キクイシザースが目指すのは質実剛健・トラブルの少ないシザーづくり

修理を繰り返すことでユーザーの手に馴染んでいくのが、シザーの魅力だと思います。
だからこそキクイシザースの作るシザーは、質実剛健で基本を守った、長く愛用いただける道具を目指しています。
パーツの劣化・紛失によるトラブルを最小限に抑えるために、ネジはあえて部品点数を抑えたシンプルな形状。
メーカー修理の度に新しいものに交換しています。

キクイシザースが世界で初めて開発したコバルトシザーは、どんな環境でも絶対にサビることのないタフな鋼材を使用しています。
耐摩耗性・防錆性に優れたコバルトシザーなら研ぎたての切れ味が長続きするので、ぜひ、そのラインナップをチェックしてください!

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